[寄稿:Rikkaさん]
20~30代女性は、仕事と子育て等で毎日多忙な日常を送っていらっしゃることでしょう。少しくらいしんどくても、自分のことなんか、構っていられないのが現状で、過労が重なっても、つい常備薬くらいで済ましてしまっているかもしれません。
でも、何か頭痛がするとか、耳鳴りがするとか、フラフラするとか…風邪の症状にも似ているので軽視していることも多い症状…でも、気をつけてください。
あなたは、聴力を突然失うかも知れないのですから…。それは、突発性難聴という名前の難病指定の耳の病気です。
通例40代~60代の女性に多いと言われていて、高齢になってからおこる病気と思われていましたが、最近では男性にも若い人にも増加しています。
浜崎あゆみさんや、最近でも、エレファントカシマシの宮本浩次さん、スガ シカオさんが突発性難聴であることを公表しました。高齢者でなくても起こるのです。
見落としやすい突発性難聴の初期症状
「その日、夫は風邪っぽいと弱音を吐いたの。熱はあったが、そう高くもなく、薬で誤魔化しながら仕事に出かけた。
けれど、頭のなかを何か電波のようなものが走るような…ピリピリする感覚があると言っていた。そんな話聞いたことないし、私もそんな体験をしたことがないから、よく覚えているのよ。」と友人は私に言いました。
「夫は、医者嫌いだった。見ていても、医者に行く気配もなかった。でも、頭の中を稲妻のようにピリピリ走るものがあるという言葉が気になって、保険会社がやっている健康相談室に電話で相談をしたの。何の病気が考えられるか尋ねると、顔面神経痛かも…是非とも受診するようにと脅かされ、夫も重い腰を上げて。
仕事が終わってから、市民病院の夜間診療に引っ張って行ったわ。当直の内科医は、夫の頭の中をピリピリと電気のようなものが走るという言葉に引っかかり、耳鼻科を紹介してくれたの。ところが、この耳鼻科のクリニックは、夫の初回の症状を軽視したため、夫のステロイド治療は遅れてしまった。
病名は突発性難聴だった。結果、完治はできず、方耳の聴力を失ってしまったわ。すごく、とつせん耳が良かった人で、雨の音を一番に感知する耳を持っていたのに…。今では、右耳の耳元で指をこすってみても、その音は全く聞こえないと言っているわ。
原因は分からないというのが定説だけれど、頭の中で何かがピリピリするなんて、やはり、何か菌に進入されたんじゃないかと思えるのよね。」と友人は溜息をつきました。
友人のご主人は、よく眠れない日が続いたけれど、仕事休めなくて無理して出掛けていたようでした。相当肉体的にも限界状態だったのでしょう。年齢は、その時50代の初めでした。
突発性難聴の起きやすい年齢は40代~60代という事実と合致します。今でも、疲れたりすると、難聴になった耳が痛くなるそうです。ただ、耳鳴りは余りなかったようでした。症状は人によって、違うのかもしれません。難聴になった後でも、耳鳴りがひどく、それで消耗する人もいるようです。では、突発性難聴とは、どんな病気なのでしょうか。
突発性難聴とは?
生来より、健康で耳の病気など経験したことものなかった人が、明らかな原因もなく、突然、片側の耳が聞こえなくなる病気のことを言います。厚生労働省が行なった2001年の調査では、全国受療者数は推定、年間35,000人。
一般には40~60歳代の女性に多いと言われてきました。けれど、最近は男性も増えてきて、同時に若い人にも増加しています。喫煙歴も関係なく、睡眠時間も余り関係なし。
ただ、発症する前には、 おたふく風邪、はしか、みずぼうそう、じんま疹、胃腸炎、感冒、高血圧、糖尿病、心疾患の既往がある人が、突発性難聴になる傾向があることが分かってきました。
それでもなお、どんな条件があれば、突発性難聴に罹りやすいかという明確な結論は得られていないのが現状です。
40~60歳代に多いというのが、一つのキーワードかもしれません。この年代は管理職になったりして、おのずとストレスも溜めるでしょうし、仕事は簡単には休めず責任ばかり肩に重いという年代に当たります。一方で、免疫力も落ち、体力的にも転機に当たる年代でもあるでしょう。
病気の原因は二説
繰り返しになりますが、突発性難聴の原因は分かっていないのです。
急激に発症し、原因不明のものを突発性難聴…推定されている原因のうち、一説は、ウィルス感染説、もう一つは、内耳循環障害説。
ウィルス感染説としては、発症前に感冒や風邪のような症状を訴える人が多いということ、突発性難聴の罹患が一回であることなどから考えると、ウィルス疾患が突発的な難聴を起こすのではないかという論拠となっています。
もう一つは、内耳循環障害説ですが、これは内耳血管の痙攣や血栓、出血などによって循環障害が起こっていると考えるものです。それが突発性難聴を引きおこすのだとされ、それゆえ、突然、耳が聞こえなくなるのだという論拠です。
けれど、この説では、再発はほとんどないという突発性難聴の特徴を説明しきれていません。
どんな症状があるのか?
では、どんな症状があるかと言いますと
・突然に耳が聞こえなくなる。
・耳鳴りや耳がつまった感じ、ものすごいガーという大きな耳鳴り音があるケースも…。・めまいや吐き気、実際の嘔吐も生じることもある。
・突発性難聴では耳に限定された神経障害だけ。
難聴の発生と前後して、こうした症状を伴うことがあるのますが、くり返しません。
治療法は、どんなものがある?
急性期の治療として、まず必要なのは安静です。発症前に心身ともにストレスを受けていることが多いので、安静にすることが肝要。
難聴の程度によっては、入院治療をした方がいいケースもありますが、安静にしているだけでも、内耳循環障害の改善にはなります。
突発性難聴は難病指定されています。その理由は、いかなる治療法が有効なのか未だ明らかになっていないからです。そのため、発症時の状況や既往歴等を総合的に考慮して治療法を決定しています。ということは、耳鼻科のクリニック医師の対処法が、完治するかどうかの分かれ道になる可能性もあるのです。
①ウイルス性内耳障害改善を目的とする治療ウイルス感染
副腎皮質ステロイドが広く用いられています。
副腎皮質ステロイドの持つ強カな抗炎症作用が、ウイルス性内耳炎を軽快させると考えられます。けれど、その方法の詳細については、確立したものはなく、臨床の医師の才覚に任されているのが現状ですし、糖尿病や胃潰瘍、結核などの合併症がある場合には、副腎皮質ステロイドの副作用によって、疾患が増悪する可能性もありますので、注意が必要です。
こうした意味でも、どういう治療を行なうのかは現場の医師に任されており、ステロイドに対する副作用も考慮しなければならず、現場の医師は責任が重い立場におかれているといってもいいでしょう。
②内耳循環障害改善を目的とする治療
血管拡張を目的とした薬剤としては血管拡張薬が用いられます。
血栓により内耳循環障害が生じていると考えられる場合、抗凝固薬が使用されます。
血流改善剤(アデホスコーワ、トリノシンなど)、代謝促進剤(メチコバールなど)を使用した投薬治療を行います。ビタミン剤を補助として使用する場合もあります。
その後の経過は?
難聴が改善する場合には、治療後難聴が急速に改善し、回復していきますが、治療開始後、少しずつ時間をかけて回復するケースや、あるいは全く改善しないケースもあります。
予後がよくない要因としては
①発症後2週間以上を経過した症例
②発症時平均聴力レベルが90dB以上の高度難聴例
③回転性めまいを伴う症例
④患者が高齢であること
等が考えられます。こうしたことからも、耳鼻科の臨床医の初期治療の能力が、結構重要となってくるでしょう。
突発性難聴について触れてきましたが、いかがでしたでしょうか。
ともかく、健康な聴力を持っていた人が、突然難聴になり、その治療法が確立されていないということが、この病気の怖いところです。
治療は、全権的に担当医師に委ねるという形になる訳ですが、既往症を持っていると、予想もつかない展開となるケースもないとは言えず、医師も不安でしょうし、患者側も不安ということにもなります。
私達も医師任せでなく一人ひとりが、突発性難聴についての知識を持ち、少しでも難聴の兆候が現れたら、耳鼻咽喉科を受信することを心がけましょう。
終わりに
一部の資料には、40代からの病気と書いてありますが、最近は若い人にも増加しています。浜崎あゆみさんや、最近でも、エレファントカシマシの宮本浩次さん、スガ シカオさんが突発性難聴であることを冒頭紹介しましたが、相田翔子さんもWINKの時、過労で突発性難聴に罹っていたことを報告しています。
無理をしたりストレスを溜めると、自律神経や免疫機能が狂いが生じて、突発性難聴を発症する傾向にあります。そういう意味で、ストレスをコントロールすることは、とても大切なことです。
凡庸な言い方ですが、バランスの良い食事、程よい睡眠、適度な休息など無理をしないよう体をいたわり暮らすこと…こうした何でもない日々の積み重ねが、重大な病気を回避できるキーワードなようです。
コメント