生活の安定や給料を上げようとしたら様々な方法がありますが、中でも最も人気なのが資格の取得ではないでしょうか。通勤通学の電車の中で資格試験の広告を見ながら、ぼんやり「この試験をとれば、キャリアアップにつながるかな・・。」「今の不安定な生活から抜け出せるかもしれない」と感じる人も多いことでしょう。
ところで、そんな資格試験ですが、取得する年齢や職業により、箔どころか経歴を汚してしまいかねないものがあるのをご存知ですか。
一見、世の中で脚光を浴びている資格試験。がんばって勉強したにも関わらず履歴書に書いても中々手ごたえが得られない。そんなときは、資格試験の取り方に問題がないかどうかもう一度見直してみた方がよいかもしれません。
40代で初めてのIT資格取得?に見る罠
インターネットが本格的に浸透し始めたのは2000年代になってから。主に現在30代中盤の世代が大学を卒業した頃です。現在、40歳を超える方の多くが社会に出始めの頃、会社にパソコンなるものは存在したものの、まだまだインターネットには接続されていなかったり、部署に1台。または、何人かで同じパソコンを共有していたという人もいるのでないでしょうか。
当時、多くのパソコンスクールが開設され、オフィス製品やパソコンの基礎力を問う資格試験が脚光を浴びていました。もちろん、現在でも人気があるものもあります。
10数年前、まだまだパソコンのスキルを証明することは重要でした。なぜなら、パソコンが使える人が相対的に少なかったから。
ところが、現在では事情がガラッと変わります。もはやパソコンは使えて当たり前。それよりももっと専門的なIT系資格が求められる時代となりました。今ではITに関係のなかった職種の人まで専門的な試験を受験する時代になりました。
そんな風潮の中、ある有名企業の人事担当者と話す機会があった筆者。面接に来る人の履歴書の中身についての話題になった時のこと。
「いや~Kidoさん。うちの会社にも40歳以上で転職活動をする人が結構いてね、それはそれでスキルがあればOKなんだけど、履歴書にIT系資格をたくさん書いて来る人がいるの。でも、最近、取り始めたみたいなんだよね。」
なんでも、40代になってから転職することになった方の中には、焦って突然OAやIT系の資格を取り始めた方がいるのだとか。彼は続けます。
「でもね。突然、自分の経歴に関係のない資格を書かれたって使えないのは火を見るより明らかだし、そもそもこれまでの経験を生かそうとしていないか、何も経験を積んでこなかったようにしか見えないよね。」
つまり、それなりの年齢にも関わらず自分の職歴に関係のない資格を取得することは、その人がそれまでの仕事から何も吸収してこなかったことを認めているようなものだというのです。
例え、苦労して難関資格を取得しても、逆に自分の価値を落としてしまう分かりやすい事例ではないでしょうか。
資格試験は自分の経験を証明するためのもの
IT関連の資格を例にとって説明しましたが、これは税務関係の資格でも、法律関係の資格でも同じことが言えるのではないでしょうか。
早い話、その資格を取る必然性が説明できるかどうかが重要ということです。
例えば、40代目前まで営業事務として働いてきたが、このままでは将来のスキルアップは見込めないと判断し税務関係の資格を取得。転職時、「これまでの仕事で経理の業務に関わることが多く、より専門性の高い仕事を目指して取得しました。」
このように説明すれば面接官も「なるほど。より難易度の高い仕事ができるということですね。」と前向きに評価してくれるのです。
つまり、資格試験はあくまで自分の経験や知識を外向けに証明するための運転免許証のようなもの。にわかに資格を取得しても、それを取得した理由や即戦力としての経験を説明できなければ、その運転免許は「事故歴」として扱われかねないのです。
テレビや新聞広告で様々な試験のキャッチコピーを目にしますが、本当に自分にとって必要なのか、また、取得すべきタイミングは今なのかをもう一度よく考えてみる必要がありそうですね。
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