実は、私、中国に住む中国人と国際結婚することになりまして、その後、日本に呼び寄せることになったのですが、この結婚手続きが非常に複雑で、かつ、面倒なので、他にも同じような想いをする方が多いのではないかなと記事にすることにしました。
日本在住の中国人男性(女性)と結婚することは、実は、多少、ハードルが下がります。
一方で、中国在住の中国人男性(女性)と結婚し、ビザを取得してから日本に呼び寄せるのは最低でも半年、じっくり時間をかけた場合、1年程度かかる長い道のりとなるのです。
国際結婚は日本人同士の結婚とは違います。しっかり、手続きの下準備をしてから臨みましょう。
今回は、その手続きの一部始終を私の体験を元に完全にご紹介したいと思います。
国際結婚までの全体像
中国在住の中国人と結婚し、日本で一緒に住むためには、いくつかステップが必要です。
なぜならば、たとえ、結婚をしたとしても、ビザがなければ、夫婦でも日本で一緒に住むことはできないからです。
つまり、結婚とビザは、別物だということを覚えておきましょう。
次に、日本に呼び寄せるためには、配偶者ビザが必要です。
この配偶者ビザ。「これから結婚します」では、もらえません。
しっかり、結婚しなければビザの申請はできないのです。
もちろん、就労ビザなどがあれば別ですが、就労ビザは、日本の企業が、その中国人を採用し、ビザの発給をお手伝いしなければ手に入りませんし、退職すればビザの要件を失います。
つまり、はじめから配偶者ビザを取得した方が、話は早いのです。
最後に結婚ですが、中国人の夫や妻と結婚するには、日本と中国の両方で結婚の手続きが必要です。
手続きの流れとしては、以下の通りです。
はじめに日中で正式に結婚の手続きを行い、その後に配偶者ビザを取得するという流れです。
この後、詳しく記載しますが、流れとしては以下の通りです。
- [日本人] 法務局で婚姻要件具備証明書を入手
- [日本人] 外務省で婚姻要件具備証明書の認証を受ける
- [日本人] 中国ビザ申請センターで婚姻要件具備証明書の認証を受ける
- [日本人] 婚姻要件具備証明書の翻訳を用意
- [二人で] 二人の写真を撮影
- [二人で] 中国の婚姻登記所で登記
- [日本人] 日本で婚姻届を提出
- [日本人] 入国管理局へ配偶者ビザを申請
- [中国人] 在留資格認定証明書をもって在中国日本大使館でビザの申請
- [中国人] 来日と在留カードの入手
中国人男性(女性)と結婚手続きをする
では、はじめに中国人と結婚する流れをご紹介します。
中国にいる中国人と結婚するためには、はじめに「中国から」結婚の手続きをする必要があります。
なぜならば、日本の役所は、日本に住んでいない外国人との婚姻届を原則として受理しないからです。(外国で結婚していれば受理する。)
ここからが、手続きの流れです。
① 婚姻要件具備証明書(こんいんしょうめいぐびしょうめいしょ)を取得する
まずは、日本人である、あなたが、法務局に出向いて、婚姻要件具備証明書を取得します。
この婚姻要件具備証明書とは、あなたが独身で、日本の法律によって結婚できる条件を満たしていることを証明する書類です。
婚姻証明具備証明書は、法務局の支所ではだめで、各都道府県の本局の戸籍課に取りに行く必要があります。東京であれば、九段下の法務局が管轄になり、支局では取り扱っていませんのでご注意ください。
料金:無料
受け取り:午前中に申請すれば、3時間程度で作成してもらえます。
申請人:原則として本人だけが申請や受け取りが可能です。代行業者はありません。
準備:結婚相手の正確な氏名を確認しましょう。簡体字の場合は日本の漢字に置き換えて記載が必要です。
② 外務省の認証を受ける
次に、婚姻証明具備証明書を受け取ったら、外務省に行きます。
私の場合は、千代田区の外務省の本省へ行きました。
物々しい警備を通過して、外務省の正面から左側の裏手に申請窓口があります。
そこで、申請書と婚姻証明具備証明書を提出します。
なお、申請書は、次のページからダウンロードできるので、予め記載して行くと良いでしょう。(リンク)
認証は、具備証明書に認証印を押してもらう形になりますが、当日の受け取りは不可で、翌日に受け取れます。
なお、自分の住所、名前を書いたレターパックを持って行くと、後日、郵送で返してもらえます。(申請窓口は面倒なのか嫌がりますが、しっかり主張すればやってくれます。)
返信は郵送が可能ですが、申請時は、窓口の対面で申請する必要があります。
外務省の認証は、委任状があれば、代理人でも可能で、業者に依頼することも可能です。
最安値で私は2万円程度でした。
こちらは、2万円から7万円かかるものまでピンキリですが、価格によって何か違うものではないので、最安値の行政書士を選びましょう。
料金:無料
受け取り:翌日以降に受け取り可能。レターパックを用意すれば返信は郵送可能。
申請人:委任状可能。行政書士へ依頼可能です。
③ 中国大使館(中国ビザ申請センター)の認証を受ける
外務省で認証を受けたら、中国ビザ申請センター(リンク)で、認証を受けます。
こちらは、婚姻要件具備証明書の裏面にシールの形で貼ってもらえます。
なお、現在、中国大使館は、この業務を行っておらず、すべてビザ申請センターで行っています。なお、ビザ申請センターは、東京の虎ノ門、名古屋、大阪にあるようです。
自分でも簡単に申請ができますが、申請と受け取りの2回出頭しなければならないので、私は仕事の関係で行政書士へ依頼してしまいました。
料金:5000円程度
受け取り:申請から数日~1週間程度
申請人:委任状可能。行政書士へ依頼可能です。
④ 婚姻要件具備証明書の翻訳
婚姻要件具備証明書に、外務省、中国ビザセンターの認証を受けたら、書類の中国語訳を準備します。こちらは、自分で翻訳してもかまいませんし、業者への依頼も可能です。
ただし、その翻訳にも認証が必要です。
私の場合は、中国にいるパートナーへ依頼して、中国の行政が公認した翻訳業者にて翻訳をしてもらいました。料金は、日本円で3000円程度です。こちらは、認証の意味も兼ねているようです。
PDFで婚姻要件具備証明書のコピーを中国人男性(女性)側へ送り、そのPDFを元に翻訳してもらいました。
ちなみに、日本の行政書士の中には、翻訳の斡旋や代行も行っているところがあるようですが、料金は3000円~5000円程度が相場で、認証料金は別途です。
⑤ 二人が写っている写真
こちらは、中国に渡航した後に用意した方が良いのですが、結婚登記には二人で一緒に写っている写真が必要です。
中国の慣習では、二人とも白いシャツを着て、赤い背景の前で写真を撮影します。
中国の写真館では、結婚向けの写真を扱っているところが多いですし、その場で化粧や貸衣装まで行っているとこもあるので、中国に渡航してから二人の写真を撮影した方がよいと思います。
⑥ 中国で結婚登記
書類の準備が出来たら、中国人のパートナーと、中国人在住の地域の婚姻登記所へ出頭します。
その際に、中国人のパートナーは、身分証明書(居民身分証)を持参します。
なお、二人が写った証明写真を持参する必要があるので、パートナーに詳しく確認してもらう必要があるでしょう。
婚姻登記所は、1ヶ月前から予約が可能となりますので、あらかじめ予約してから出頭するとスムーズです。
また、中国の地方の登記所や、都市部でも中心部ではない登記所は、国際結婚の手続きに慣れていない係官がおり、書類不備などを勝手に主張し、嫌がる傾向があります。私も危うく拒否されるところでしたが、書類に不備はない旨を主張し、なんとか結婚に成功しました。
問題がなければ、その場で赤い表紙の結婚証を二人分(2冊)発行してもらえます。所要時間は1時間というところでしょう。
必要に応じて、中国人の方の戸籍も未婚から既婚へ記載変更をした方がよいので、役所へ行って手続きをしてもらいましょう。
中国人の持ち物:居民身分証(運転免許のようなカード)、居民戸口簿(茶色い冊子で各家庭で管理してます)、二人の写真
⑦ 日本の役所へ婚姻届と結婚証明書を提出
次に日本に帰国したら、日本の区役所や市役所へ中国の結婚登記所で取得した赤い表紙の結婚証(結婚公証書)と日本の婚姻届を提出します。
この時、結婚証は日本人側の1冊だけでOKです。また、結婚証の翻訳も必要ですが、これは自分で翻訳しても大丈夫です。中国人と日本人の結婚が多い地域の役所は、翻訳フォーマットを役所が用意してあり、自分は署名するだけでOKなところもあるので確認してみましょう。
東京23区の区役所の一部は、翻訳のフォーマットを用意しているようです。
なお、日本全国のどの役所に婚姻届を提出してもOKですが、戸籍がない役所へ提出する場合は、自分の戸籍謄本も必要です。
また、日本の役所へ婚姻届を提出できるのは、平日の窓口営業時間のみで、中国人パートナーは出頭する必要はありません。
戸籍がある役所へ婚姻届を提出すると、1時間程度で受理されますが、戸籍に婚姻の事実が掲載されるのは10日程度要します。また、戸籍がない役所へ提出した場合は、受理まで1週間程度時間を要するようです。
婚姻届の書き方ですが、中国で結婚した事実の報告の意味しかないため、「証人」欄は記入不要で、中国人側の署名も必要ありません。すべての項目を日本人側が代筆しても大丈夫です。
ただし、氏名の欄は、簡体字ではなく、日本に存在する漢字で記入する必要があるので、あらかじめ日本語の漢字へ置き換えておいてください。
日本人の持ち物:婚姻届 (すべて代筆OK。証人欄不要。中国人の住所欄は「中国」とだけ書けばOKです)、結婚証、結婚証の翻訳、身分証明書、戸籍謄本(戸籍がない役所へ提出する場合のみ)
中国人の持ち物:なし ※中国人の同行は不要です
配偶者ビザを申請する
正式に日中の両方で結婚が成立し日本人側の戸籍にその事実が掲載されたら、はじめて配偶者ビザの申請が可能になります。
なお、配偶者ビザの取得は、日本の入国審査官が行います。
申請は自身でも可能ですが、審査が大変に厳しいので、行政書士へ依頼することをオススメします。
自分で申請すると、必要書類が分からないこと。万が一、不許可になった場合、再申請が非常に難しいからです。
行政書士の場合は、万が一、不許可になっても、不服申し立てをしてくれるサービスもありますから、申請が下りやすく、手続き方法も簡単です。
日本の入管が、国際結婚の夫婦の配偶者ビザに厳しい審査を課す理由は、偽装結婚の存在です。
結婚と偽装して、日本で働く外国人が多いため、どんな人でも偽装結婚を疑われます。
次に、受け入れ側の日本人の資力(収入)が判断されます。
結婚生活が破綻してしまうと、パートナーの外国人が日本で不法就労状態になってしまう可能性があるためです。
従って、日本人側が厳しく審査されます。一方で、相手の中国人に対する審査はあまりありません。
詳しくは行政書士から細かく指示を受けますが、以下の資料を準備しておくと良いでしょう。
【ビザ申請に必要となる資料の一部】
●日本人側
・銀行口座の通帳コピー
・課税証明書
・一緒に住む部屋の写真
・二人の思い出の写真や両親と一緒に写った写真を50枚から60枚程度
・必要に応じて賃貸契約の書類
・二人のなれ初めから、お互いの国の渡航歴の履歴書
・あなたのパスポートのコピー
・WeChatなどを使用している場合は、その一部のスクリーンショット●中国人側
・日本語が話せることを証明できる証明書(日本語能力検定の合格書など)
・履歴書(親族の氏名や住所、就職歴など)
・パスポートのコピー少なくとも以上の資料が必要です。
私が行政書士に相談した範囲では、あなたが派遣社員や契約社員でもビザは下りるらしいですが、日本人側の収入が重視されるようです。
また、タクシーの運転手の場合、本採用になっていないと許可が下りにくいなど、どの職業であっても試用期間中は許可が下りにくいようです。
在留資格認定証明書の受領と来日まで
晴れて、配偶者ビザの許可が下りると在留資格認定証明書が発行されます。
これを中国にいるパートナーに送付し、中国のパートナーが、それをもって在中国日本大使館にビザの発給を申請すると、正式に中国の日本大使館から配偶者ビザが発行されます。
ここで、中国男性(女性)は、はじめて日本に入国する権利を得るわけです。
ビザを持って、日本に渡航できます。なお、在留資格認定証明書の発行から日本に渡航する迄の期間は3ヶ月と定められています。在留資格認定証明書が発行されたら、すぐに来日できるように準備しましょう。(在中国日本大使館にビザの発給にかかる日数は10日程度ですが、この期間も3ヶ月に含まれます)
中国人パートナーが配偶者ビザをもって日本に来日すると、空港(地方空港は後日)で、在留カードが発給されます。
なお、初回のビザは、半年から1年の短期の配偶者ビザです。
その間に、しっかり結婚生活を送り、安定した世帯収入があり、犯罪歴がなければ、更新できます。
通常、3年程度を経過すると、永住権を申請できるようになると言われています。
また、配偶者ビザがあれば、中国人男性(女性)は、日本ですぐに銀行口座を作れるようです。(一部のサイトには、6ヶ月程度経過してからと書かれていますが、私が都市銀行に電話で確認したところ、配偶者ビザであれば、すぐに口座開設が可能だそうです。)
配偶者ビザを取得すれば、仕事なども日本人と同様に出来るので、これで晴れて、日本人同士の結婚と同様に国際結婚生活を送れますね。
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