2014年11月10日。一人の名俳優がこの世を去りました。健さんのニックネームで親しまれ、長い間、銀幕の世界で輝かしい業績を築き上げてきたその人。高倉健さんです。
東映制作の『網走番外地』シリーズをはじめとして、『幸福の黄色いハンカチ』では、今風に言えば、ちょっとチャラい男、武田鉄矢と、陰のある過去をもつ元炭鉱夫の設定で、終始、硬派な男を見事に演じました。この作品では、日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞に輝いています。
映画『遙かなる山の呼び声』や『南極物語』といった不器用ながら男らしい男、そして近年では何といっても『鉄道員(ぽっぽや)』で寡黙な駅員と、どれをとっても、昭和の匂いを残しながら現代ではあまり見かけなくなった硬派な役柄ばかり思いつきますね。
本日は、高倉健さんの人気がなぜ衰えなかったのか?そして、モテる男性の条件とは?まで、少し飛躍的ではありますが、今、日本の男性たちが失っている魅力にまで迫ってみたいと思います。
男の魅力が抽象的になった時代
悪く言えば、ちょっと古いスタイルの俳優・高倉健さんがデビューから60年近くもなぜ不動の人気を誇ることができたのでしょうか?
見方を変えれば、今の時代、芸能界の変化の流れは激しく、どんどん新しいスタイルの芸能人が登場し、変化についていけなければ、いずれ消えてゆく状況です。その中で、変わらない昭和の雰囲気に何故、人気が集まるのでしょうか?
そこには、男性の魅力とは一体何か?という答えがあるように思いませんか?
草食系男子という言葉が初めて登場したのは2006年のこと。この言葉の登場により、一気にそれまで恋愛や男女を交えた交友関係に消極的だった男性が脚光を浴びることになりました。つまり、昔は、勇猛果敢で力強いことが男の魅力とされてきたものから一気に価値観が広げられ、あらゆる男性の性格が個性として認められるようになったと言えます。
言い換えれば、男性の魅力の定義が曖昧になった時代ともいえるでしょう。そのような曖昧な時代に生きる男子は、いわば目指すものが無くなった浮遊物のような生き方を強いられていると言えるのではないでしょうか?それ故に、テレビや映画の世界であらゆるタイプの男が光を浴びては消え、また、別のスタイルの男が登場しては消えるという状況になってしまったのです。
男の魅力は、変わらないこと、貫くこと
ところが、女性の目線で男性を見た時に、昔から変わらない魅力があります。
それは、その男性が信頼できるかということ。つまり、その男性の信念や生き方にセオリーがあり、決して揺らがない芯の強さです。
一度、口にしたことは最後までやりきる!ということであったり、自分の信念を強く持つ。このような一本筋の通った男性は、今も昔も女性から見た時に魅力なものです。
例え、力は強くなくても、そして、容姿端麗でなくても、男を意識させる精神的な強さです。
この精神的な芯の強さを地で表現し続けてきた男性こそ、高倉健さん、その人だったのではないでしょうか?
そして、男の価値が分かりにくくなってしまった現代において、男性が再度、目指すべきもの。それは、男性の精神的なタフさ、そして自分の信念を貫く心なのです。
それこそ、真の『スタイル』と言っても過言ではないでしょう。顔やトークの表面上のテクニックだけを追い求める男性が増えてしまった今、是非、高倉健さんから学ぶべきものがありそうですね。
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