「This is a pen.」
今からちょうど5年前。何をトチ狂ったか、英語の「え」の字も学んでいなかった。いえ、学ぶ気もないまま、外資系と呼ばれる会社に就職してしまった筆者。天性の「何とかなるさ!」根性で働き始めたものの、上司は外国人。「これはペンです。」を捻り出すのが精いっぱいでした。
しかし、ご想像の通り、外資は厳しい世界。仕事が出来なければ、クビになるまでもなく、同僚から辞めろオーラが醸し出される環境で、何とか必死に英語を独学で学んだ結果、長く居座っている社員の座を獲得しました。コテコテの外資で5年って、結構大変。
特に英語学習にお金をかけた訳でもありません。ミーティング、メールなど、ほとんど日々の業務で覚えました。そこで、本日は、筆者の経験を元に英語学習の疑問質問に独断と偏見を交えつつ考えてみたいと思います。
発音は必要ない?
巷では、英語力に発音は関係ない!とにかく、話すこと!と主張される方がいます。確かに、「とにかく話すこと」は大切です。モジモジしていては、絶対に覚えられません。これホント。
間違っても良いから、とにかく、英語を使っているうちに覚える。これはとても大切です。
しかし、もし、英会話教室や教材を使って英語を学んでいる場合は、折角なので発音も気にしてみましょう。
会話の相手がネイティブなら、ある程度、文法が間違っていても理解してくれるもの。なぜなら単語の順序がバラバラでも推測ができるから。
ところが発音はそうもいきません。特にテレカンファレンス(電話会議)など音質が悪い状況では、中々相手に伝わらないもの。日本人はアールの発音が苦手だと言われますが、外国人にとって、アール一つ違うだけで全く違う単語に聞こえてしまうことも多いんです。
もちろん、発音ありき・・・ではありませんが、正しい発音も身に付けたいものです。
リスニングを学習すればライティング・リーディングはいらない?
通信販売などで、英語をひたすら聞き流して覚えよう!という商品が多数発売されています。「●●時間、ひたすら聞き流せば英語ができるようになる」。
本当でしょうか?
絶対に話せるようにならん!・・・とは言いませんが、聞き流すだけでは不十分です。だって、単語も分からない、文法も分からない。視覚も使える訳ではないのに、雑音にしか聞こえない英語を聞き続けて話せるようになりますか?
ある程度、下地があって、それを補強し、外国人の発音やスピードに慣れるためには有効だと思います。しかし、今、英語がゼロの方が実践して、最短で英語が出来る種類のものとは違います。
筆者は、主に文章で英語を覚えました。はじめは海外の取引先に翻訳サイトや英語辞典などを駆使して、文章を組み立て、さらに再度、日本語に機械翻訳して意味が通るか繰り返す。そんな毎日でした。
半年が過ぎた頃、いつしか、外国人が書いた英文を、翻訳サイトや辞書などを使わずにスラスラ読めている自分に気が付きました。
そうすると面白い。街中の広告などに書かれている英語がどんどん読めてしまうんですね。しまいには、例えば同じアメリカ人でも、文章の書き方が異なることに気が付き始めます。
このブレークスルーがあって、次に電話会議の英語。チャットを併用し、英文をタイプしてもらい、電話会議で何を言っているか確認していた筆者でしたが、いつしか、こんなことに気が付きます。
「ん?この英語、先日メールで書いたことのある文法だ。ん?この単語、先日辞書で調べた単語だ!」
そして、いつしか会話もできるようになりました。つまり、ライティングやリーディングも大切です。
ハイレベルな英語を目指すには日本語を覚えよう
西洋文化を中心に歴史小説を執筆する塩野七生氏の講演を聞きに行った時のこと。
「日本語ができない人は、英語がいくらできても認めてもらうことはできません。」
当時は、全くその意味が分からなかった筆者。でも、これ本当です。
しばしば、英語ができれば、自分は仕事がデキる人間だ!と誤解してしまう方がいますが、これは間違いです。英語はあくまでコミュニケーションのツールでしかありません。
もし、日本語で、論理的な話し方ができない人は英語でもまとまりのない話し方になるでしょう。「海外旅行のための英語」が「ビジネス英語」とは異なる所以です。
確かに英語ができれば、世界中のあらゆる人と会話できますし、コミュニケーションの幅が広がるでしょう。しかし、例え日本語でコミュニケーションをする時も、論理的に、洗練された話し方ができるよう心掛けるべきです。日本語で論理的に正しく表現できる人は、英語も洗練されたものになるはずです。
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