先日、ある衝撃的なニュースが報じられました。日本人の女子大生がインドのブッダガヤを旅行中に誘拐、監禁され、約1か月にも渡り性的暴行を加えられたというニュースです。(『邦人女性を3週間監禁し暴行、男5人を逮捕 インド』)
このようなニュースを見るたびに、怖いな~海外は。と感じる方も多いと思いますが、日本人が海外で犯罪に巻き込まれ、それがニュースになるのはごく一部。外務省領事局の統計によると、平成24年の1年間だけでも5000件以上の邦人被害が報告されています。(『2012 年(平成 24 年)海外邦人援護統計』)
特に女性の場合は性犯罪に巻き込まれるケースも多く、万が一巻き込まれた場合の精神的なショックや身体的なダメージは計り知れないものがあります。かと言って、海外に出かけるチャンスを逃してしまうのも勿体ないですよね。
今年も春から夏にかけて、卒業旅行やハネムーンなど海外に出かける方も多いはず。そこで本日は、海外で特に女性が犯罪被害に会わないための予防策について考えてみたいと思います。
『人通りが多い』は安心できるシチュエーションではない
夜一人で出歩かない。危険な場所には立ち入らないという基本的な安全対策は重要ですが、必ずしも人がたくさん集まり、すぐに助けを求められそうな状況でも安心はできません。
筆者が実際に体験した実体験をもとにご紹介します。
フランスで日本人観光客にも人気のスポットと言えば、モンマルトルのサクレクール寺院があげられます。寺院の裏手にはカフェがたくさんあり、画家が露店を開いて絵を販売するなど、フランスを満喫するには持って来いの観光地です。
人通りも多いため、安心して寺院に続く坂道をあがっていた時のこと。不意に体躯の大きな黒人男性が、ニコニコしながら『こんにちは』と近づいてきました。手にはなんと、ゴムで出来たアヤトリが。『これ知っていますか?』と言われて、とっさに「アヤトリでしょ」と答えると、ジェスチャーで、手を入れてみろという仕草をするのです。
なんとなく、これは手を入れてはいけない!と感じた筆者は、すぐにその場を立ち去りましたが、後で聞いた話。そのまま手を締め付けられて、動けなくなっているスキに仲間がバッグを奪う強盗だったかもしれないということでした。しかも、、周りに大勢の人がいて、安心している観光客の一瞬を狙うのだそう。何とも怖い手口です。
加えて、この手の犯罪者は、相手に不信感を抱かさないために、日本語を学んでいたり、ちょっとした日本の文化程度は調べているのだとか。
先のインドで誘拐された日本人女性も日本語が話せるガイドに気を許してしまったことが発端でした。日本語を話せる=教養レベルが高い=安心でいると錯覚してしまう方もいるようですが、逆に何かしらの意図をもって学んでいることをお忘れなく。さらに、日中、人通りが多くても、人の少ない場所に誘導されてしまっては、助けを呼ぼうにもどうにもなりません。
男性より女性は力が弱く狙われやすいこともあげられます。ですから、人通りが多いことや、相手が日本語を話せるなど、一見、安心できる状況の時が危ないと言えるのではないでしょうか?
人の多いバスや列車でも長距離は危険
2013年南米はブラジルで恐ろしい犯罪のニュースがメディアを騒がせました。アメリカ人とフランス人のカップルがバスで移動中、同乗した男たちにバス内に監禁され、女性が集団でレイプ被害にあってしまったというニュースです。ポイントは、女性の彼も付き添っていたにも関わらず、犯罪に巻き込まれたこと。
海外の長距離バスや列車は、現地の犯罪者が複数同乗していることもあり、集団で襲い掛かられると防ぐ手段がありません。また、周りの人も巻き込まれるのが怖く、見て見ぬふりをすることもあり、地域によっては必ずしも安全とは言い切れない部分があります。タイなど観光に力を入れる国ではバスや列車に警官が乗り込んで警備に当たっているほど、長距離バスや列車は安全ではありません。
最低限、例え、パートナーがいても、密室化しやすい夜のバスや列車での長距離移動は避けるべきです。
白タクには絶対に乗ってはいけない
交通手段で危険と言えるものとして良く言われることは、『タクシーは危ない』というものです。
一方、近距離を移動する場合は、タクシーなしではどうにもならない場合があります。
その場合の選定方法は、白タクか許可を得ているタクシーかということ。
多くの国では、タクシーとして営業するために許可制を取っています。共通のタクシーサインを使ったり、運転手が専用のベストを着たりと国によって許可を受けているタクシーの見分け方は様々ですが、許可を受けていないタクシーは、他のタクシーのように共通の目印がないので、一見して分かります。
そのようなタクシーに乗ることは絶対に避けなければなりません。万が一、乗ってしまうと、料金トラブルは覚悟しなければなりませんし、下手をすると誘拐される場合も。
また、できれば、向こうからタクシーに乗らないかと誘ってくる運転手も疑うべきです。それは、あなたが日本人だと見抜かれていて、『お金を持っている』か、『女性だから』など何かしらの下心があると疑った方が身の安全を守れるでしょう。
その警察官は安全か?
海外では、警察官が犯罪者に変わってしまう場合もある点に注意が必要です。例えば、筆者の場合、カンボジアを旅行中、近寄ってきた警察官に突然、「なぜ、あなたはこんなに危険な場所を旅行しているんだ!」と突然、怒られてしまった経験があります。アンコールワット付近だったため、全く意味が分からず、困っていると、「安全な場所に連れていってあげるから、お金をください」と言われ、びっくり。
また、「警察官に似た」服装で近寄ってくる犯罪者も多いと聞きます。
もし、警察官が理由もなく近寄ってきた場合、まずは相手の身分証明書の提示を受けるようにしましょう。警察官または警察官風の人が犯罪者だったという話、意外と先進国や著名な観光地でも聞く話です。ぜひ、冷静に見極めたいものですね。
本日は、ちょっと盲点になりやすい点を重点的にご紹介しましたが、やはり、ガイドブックに載っている基本中の基本も疎かにせず、楽しい旅行にしてほしいと思いますね。
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